共著・編著
賜物 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 Ⅱ-10)
池澤夏樹=個人編集 世界文学全集
ベルリンに亡命した青年が、世界的な蝶の研究者である偉大な父への追憶を抱きつつ作家として自立するまで描く。祖国への思いを込めたナボコフ最後のロシア語小説を原典から初の邦訳。
1984年、ベルリンに暮らす20代半ばの亡命ロシア青年フョードルは、最初の詩集を刊行したばかり。世界的な鱗翅類学者の父は1916年に中央アジアへの探検旅行に出かけたまま行方不明となり、美しき母と姉はパリに暮らす。彼自身の生活は貧窮を極めるが、プーシキンやゴーゴリといった偉大なロシア文学への献身が揺らぐことはない。父とともに蝶を追った別荘の思い出、亡命ロシア人サークルにおける文学談義、運命の女性との夜ごとのベルリン彷徨…。やがて彼は、芸術を二次的なものと考える進歩的思想家チェルヌィシェフスキーの評伝執筆に全力を傾けるようになる。
〈ぼくがこの作品を選んだ理由 池澤夏樹〉
作家が、自分はいかにして作家になったかを小説の形で書くことがある。ロシアからの亡命青年ナボコフは、作家になるという運命を選び取り、そこから生じる苦労を神からの賜物として引き受けた。文学は充分その苦労に値するのだ。
作品情報
発売日:2010/4/22
出版社:河出書房新社
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この作品のレビュー
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公開:2015年11月03日 - 最終更新:2019年03月18日