レビューについて
cafe impalaは、池澤作品についての読者のみなさんの思いを共有できる場となれればと考えています。
レビューは各作品のページからどなたでも投稿できます。たくさんの投稿をお待ちしています!
- 作品を探す
-
ジャンル出版形態フリーワード
レビューを投稿すると…
毎年秋に開催を予定している「レビューコンテスト」では、毎年9月末までに投稿いただいたレビューの中から入賞作品を選ばせていただきます。コンテストでは、cafe impala 編集部と外部の有識者の方々との厳正な審査の上、受賞作品を選定いたします。
レビューコンテスト受賞者には、池澤夏樹本人へ直接質問する権利やimpala e-books読み放題特典など、ささやかながら素敵なプレゼントをご用意しています。
※但し、新規に投稿されたレビュー数が50本を下回る場合は、選考を翌年に繰り越しさせていただきます。
レビューを投稿するには
全ての作品で投稿を受け付けています。
各作品の投稿フォームから、送信してください。
レビュー投稿ガイドライン
- 投稿は400字以上を目指してください。
- 投稿いただいたレビューは、cafe impala 編集部の承認後、サイトに表示されます(投稿後、すぐに表示はされません)。
- サイトに表示されたレビューは、impala.jp 内の複数媒体 [単行本版/文庫本版/impala e-books (電子書籍)版] に共通して掲載される場合があります。
- 投稿レビューの著作権は、投稿された方にあります。ご自身のレビューは、後日他のサイト等でも利用することができます。
- 投稿に際して入力していただく個人情報は、cafe impala の制作運営に関連するcafe impala編集部、impala e-books編集部からの連絡に限り利用させていただきます。
レビューに関連する最新情報
-
動画公開
「池澤夏樹の書評の書き方講座」Part4(最終回)の動画を公開しました
「impala e-books」1周年を記念して開催された「池澤夏樹レビューコンテスト」。その授賞式の一部として行われた「書評の書き方講座」の動画の最終回をお届けします。書き起こしテキストとあわせてお楽しみください。 & …
-
動画公開
「池澤夏樹の書評の書き方講座」Part3の動画を公開しました
「impala e-books」1周年を記念して開催された「池澤夏樹レビューコンテスト」。その授賞式の一部として行われた「書評の書き方講座」の動画をお届けします。書き起こしテキストとあわせてお楽しみください。   …
-
動画公開
「池澤夏樹の書評の書き方講座」Part2の動画を公開しました
「impala e-books」1周年を記念して開催された「池澤夏樹レビューコンテスト」。その授賞式の一部として行われた「書評の書き方講座」の動画をお届けします。書き起こしテキストとあわせてお楽しみください。   …
最近のレビュー
-
『 スティル・ライフ 』
スティル・ライフは、読むたびに感想が変わる気がします。
初めて読んだときは、いまよりもっと人生が辛かったときで、とにかく救われるために、救われたくて、読み始めたことを覚えています。それは、冒頭の
「この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。」
という一節に、ああ、だれかにこういう様なことを言ってほしかったんだと感じたからです。
暖かいのか冷たいのか嬉しいのか悲しいのか、正体の分からないような気持ちだったけれど、はじめて誰かの言葉が納得できたような、そんな出会いが冒頭にありました。池澤さんのことが大好きなので、こんなことを言うのはいけないのかもしれないし、間違っていたら叱ってほしいくらいですが、この作品が芥川賞を取ったということに悲しくなるときがあります。
いまを生きるということは、透明人間にもなれないし、心が星に直結しないし、ニュートリノの飛来は感知できないし、山や高原や惑星や星雲と同じディメンションの希薄な存在にもなれない
やっぱりそういうことなんだと、突き付けられたような気がするからです。社会生活や言語表現は、いろんなことを試みるが(いまはSNSとかもあって大変)、それでもわたしたちが行きたい場所はひとつだよね、と思います。
それに近い場所を、わたしはスティル・ライフから感じてしまいます。どんなに悲しいことが起きても、この小説があれば、わたしはこれからも生きていけるだろうと思いました。
遠い地での戦いの恐怖や血の匂いや容赦ない死は、想像したって分かることはない。その事実がどんなに最悪でも、ちゃんと生きていこうと思います。わたしが生まれたのは、この作品が発表されたよりも遅いので、まるで池澤さんの足跡をずっとあとになってから辿っているような感じなのかもしれませんが……わたしにとっては、あまりにも友達のような作品です。
さいごの佐々井と「ぼく」の会話が大好きで、読むと泣きそうになります。どうせ生きているなら、わたしもあんなふうについ喋りすぎちゃって、存在がまっぷたつに(あるいはもっとたくさん)散っていくような感覚を何度でも味わいたい。
書いてくださり、ありがとうございます。真子 -
『 夏の朝の成層圏 』
この本について僕はもう何も論じたくありません。僕がこの本に抱く想いは殆ど恋と言って良いでしょう。
.
とにかく最初の書き出しから最後の1フレーズまで、一字一句、本に書かれた文章を拾っていけば、それだけで本当に自分が・・・
.
漁船から落ちて南太平洋の小さな環礁の島に漂着し、
.
最初は生き残るために必死に頭と体を働かせてサバイバルし、
.
やがて思いがけない人物や精霊たちとの出会い・交感を通じて、
.
人間とは?文明とは?自分の体験の意味とは?・・・
.
という思索に入っていく★主人公になりきる★ことが出来ます。
——–
.
.
「遠く水平線の近くに白いフワフワした雲の塊が並んでいる。三檣帆船の艦隊のようだ。その帆の先端の辺りではまだ空はそれ程青くはない。しかし登るにつれて空は青味を増し・・・」
.
.
イントロのこのフレーズは僕にとっては「智に働けば角が立つ。情に掉させば流される・・・」
とか
「ある特定の個人を書こうとすると、一つのタイプを創り出してしまう・・・」
とか
「この物語を書き始めるにあたって私はある戸惑いを覚える・・・」
といった古今東西の有名な本の書き出しに匹敵する忘れられないフレーズの一つです。僕はこのワンフレーズで完全にこの本に捉えられてしまいました。
.
——–
.
池澤夏樹が凄いのは、主人公の思考の流れ=自分だったらこう考える・ああ考える・・・ということを、読者の思考に絶妙にシンクロさせる、静的で心地よいリズムのある文章を書くこと。
.
本当に文章が詩のようです。
.
読んでいる間中、本当に自分は南太平洋の孤島のヤシの木陰で夏の朝の空気を吸っているような気分になりました。
.
この本読んだおかげで毎年夏は必ず透明な海に潜りに行くし、たまにタイに行ったりしますが、出来ればまたモルジブかあわよくば大金稼いでマーシャル諸島に行って環礁の中で潜りまくりたいなぁ~。