共著・編著
ロード・ジム (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 Ⅲ-03)
池澤夏樹=個人編集 世界文学全集
『闇の奥』の作家が放つ海洋冒険小説の最高傑作を新訳で。航海士ジムは乗り組んでいた老朽船が沈没の危機に見舞われた時、800人の乗客を船に残し船長らとボートで脱出してしまうが――。
東洋のあちこちの港で船長番として厚い信頼を得ているジム。しかし彼には隠された暗い過去があった。一等航海士だった頃、ジムは800人の巡礼を乗せた老朽船で航海に出るが、航行中に浸水が発覚する。沈没を恐れた船長たちは乗客を船に残したままボートで脱出。混乱した状況下でジムもその脱出に加わってしまう。卑劣な行為に荷担したジムの後悔は深く、自尊心は打ち砕かれる。何よりも、こうであるはずだと思っている自己像と現実の自分との乖離を受容することができない。喪失した誇りを取り戻す機会を激しく求める彼の苦悩に、物語の語り手マーロウは時に寄り添い、時に突き放しながら、ジムを「私たちの一人」として見守り続ける。過去が暴かれそうになるたび逃避行を重ね、流れ着いたスマトラの奥地パトゥザンで、ジムはようやく伝説的指導者トゥアン・ジム(ロード・ジム)として崇められることとなるが―果たして失われた名誉は回復できるのか。海洋冒険小説の傑作、待望の新訳。
〈ぼくがこの作品を選んだ理由 池澤夏樹〉
成功するのはそうむずかしいことではないが、失敗からの回復は容易でない。とりわけ、世間のみなから軽蔑され、自分でも自分を軽蔑しなければならないような道義的な失敗の場合は。卑怯者に栄光はあるか? これは最も現代的な古典であり名作である。
作品情報
発売日:2011/3/11
出版社:河出書房新社
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公開:2015年11月04日 - 最終更新:2019年03月18日