詩
この世界のぜんぶ
あまり知られていないかもしれないが、小説家・池澤夏樹は、詩人でもある。彼は小説家としてよりも、先に詩人としてデビューしている。
本書は、イラストレーター・早川良雄とのコラボレーションが楽しめる作品。押し付けがましくなく、それでいて存在感のある鮮やかな挿絵が、池澤の詩に添えられている。
春夏秋冬の四季に分けた章立ての最後に独立した5つ目の章「クリスマス」がある。そこにタイトル作「この世界のぜんぶ」が収まっている。
池澤は、世界の傍観者だ。自らは必要以上に働きかけず、かといって、遠ざけることもしていない。そこで起こる事象を静かに眺めている、にっこりほほえんで、慈しんで。そのまなざしは、卑近なものを見ているかと思うと、はるか遠くを見つめてもいる。大好きな詩人の死を悼み、宇宙の果てを望む。まなざしの向こうには、童心に帰り、この星で生きることを励ますかのような「この世界のぜんぶ」が広がっている。(文月 達)
作品情報
< 目次 >
春
さくら
春の空
象
春の雨
木になる
雨の犬
コズモポリタン
蜘蛛
夏
そら
波かぞえ
変身譚
音響学的実験
空の旅
酸素
無限の時空
深夜の電話
契約
うぬぼれかがみ
秋
自省
ヤモリ
ロンドン
化石掘り
酒
グラウンド
バリの二人
詩人が死んだ日にもー娘に
ツンツン
軌道エレベーター
編集作業
踏まれる
家具の領域
冬
故郷
寒さ
クリスマス
この世のぜんぶ
発売日:2001/6
出版社:中央公論新社
入手困難
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この作品のレビュー
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公開:2001年06月03日 - 最終更新:2019年03月22日