アルトゥーロの島 / モンテ・フェルモの丘の家 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 Ⅰ-12)
ナポリ湾の小島を舞台に、多感な少年とその年若い義母との葛藤を瑞々しく描いたストレーガ賞受賞作。および家族とは何かをテーマに失われた人と人との絆の行方を描いた名作。
『アルトゥーロの島』―ナポリ湾の小島で、自然を友とし野生児のように暮らす少年アルトゥーロ。不在がちな父の帰りを待ちわびる彼だったが、ある日突然、父が新妻を連れて島に戻ってくる。最愛の父に寄り添う彼女に少年は激しい反感を覚え、幸福な日々は軋れ出す―ストレーガ賞に輝いた傑作を新訳で。『モンテ=フェルモの丘の家』―モンテ・フェルモの館「マルゲリーテ」。そこはかつて若者たちが集う、不滅の友情の砦だった。しかし時は流れ、それぞれが求めた自由への道は、多くの関係を壊し、多くの絆を断ち切っていく。喪失の悲しみの中から、人はふたたび関係を紡いていくことができるのだろうか。ファシズム期イタリアの闇の時代をくぐり抜けた二人の女性作家の代表作を新訳と名訳でおくる。
〈ぼくがこの作品を選んだ理由 池澤夏樹〉
「アルトゥーロの島」
舞台は島。主人公は少年で、自分より少しだけ年上の、つまりとても若い継母と共に住み、肝心の父は留守がち。性の誘惑に抗する若い二人の心理戦。これはメロドラマの構図だが、モランテはこの構図に人間の魂の真の姿を巧みに刻み込んだ。
「モンテ・フェルモの丘の家」
須賀敦子が文学者としてまだ苗木だった頃、彼女の文体のために支柱の役を果たしたのがギンズブルグだった。二人の間には同時代を生きた共感があった。希望から落胆へ向かい、そして改めて希望の種を拾う、そういう時期だった。須賀敦子が訳した『モンテ・フェルモの丘の家』にはその種がある。
作品情報
発売日:2008/10/11
出版社:河出書房新社
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