エッセー/コラム/対話

世界のために涙せよ
-新世紀へようこそ2

著者:池澤夏樹

世界がめまぐるしく変化するとき、雑誌や本などの紙メディアでは現実のスピードに追いつけない。「9.11」にすばやく反応した著者は、ほぼ毎日のペースでメールマガジンを配信した。その51回分をまとめたのが前作『新世紀へようこそ』であり、緊急提言という性格を反映したせいか、メール風の短い文体になった。本書はその続編だが、対照的に、各エッセイは長く、読者にじっくりと考えることをうながすものになっている。

本書には、アフガニスタン戦争からイラク戦争にいたる期間に書かれたエッセイが集められている。著者は「世界ぜんたいの動きについて、長く持続的に情報を集め、分析し、考えて」いこうという姿勢をとっている。そうすることによって、ふつうの市民の心からはなれて暴走する政府やメディアに対抗できる考え方をつくりだそうというのだ。

たとえば、アメリカについて発言するときに「アメリカは」といわず「アメリカ政府は」あるいは「ブッシュ政権は」といってみる。反戦デモに参加する米国市民と、戦争へとかりたてる米国政府との間に境界線を引ければ、だれが本当に戦争をしたがっているのかが見えてくる。「テロ(や戦争)はいけないという空疎な意見の交換」をするだけでなく、なぜそれが起きてしまうのか、根源的な理由について思索を重ねること。それを実行するには、時代の速度からいったん身を引きはなし、この「本」をじっくりと読んでみる必要がある。(金子 遊)

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    作品情報

    目次

    見えない戦争
    ものを買わない日
    軍事法廷
    「クーバク」と戦争の定義
    テロ国家
    横浜の貨車
    3冊の本
    今の時点でいくつかの疑問
    「誤爆」について
    nothingが起こった
    『十二人の怒れる男』
    平和について
    正義の戦争
    空爆の前と後
    マフマルバフの映画と本
    バーミヤンと首里城
    基地オキナワ
    無力な立場
    イスラエルとパレスチナ
    『地獄の黙示録 特別完全版』
    日本人と外国人
    日本人と外国人 2
    砂漠のカフェの話
    ゴジラは来るか
    プロパガンダと民主主義
    戦車が町にやってくる
    戦車はどこに帰るか
    敗者を祀る
    記念日だから少し憲法のことを考えてみる
    戦闘というドラマ
    30年目の現実
    銃とアメリカ人
    あまりに根源的な解決策について 1
    あまりに根源的な解決策について 2
    あまりに根源的な解決策について 3
    あまりに根源的な解決策について 4
    ヨハネスブルグの課題
    1年の後に
    ヨーロッパ連合の原理
    イラクの「戦後」
    イラク報告
    日本の停滞、日本の迷い
    日本の停滞、日本の迷い 2
    今、大事な点だけを大急ぎで
    戦争が始まった
    戦争を止める力
    戦争は終わった?
    なぜアメリカは戦争をしたか

    対話 1 ルーセン・チャキールと
    対話 2 テオ・アンゲルプロスと
    対話 3 イグナシオ・ラモネと
    対話 4 中村哲と

    発売日: 2003/6/20
    出版社 : 光文社