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【本日の栄町市場】
先週末、栄町市場を紹介するテレビ番組の撮影があった。
遅れて出勤すると、小書店の向いのKさんが「歌手が来てるよ~。みんな見に行ってる」と言う。「Kさんは見に行かないのー?」とわたしが聞くと、あまり興味もないというように、「さっきチラッと見てきたよー」だって。
さて、放映の日。長崎に雨が降ったと歌う有名な歌手が昼の市場に足を踏み入れたそのとき、、、手を振って出迎えていたのがKさんだった。「いらっしゃい」と笑顔でインタビューを受けている。テレビカメラの前だというのに堂々としていて、まさにストーリーテラーの本領発揮。チラッと見ただけにしては、随分長い時間喋っていたような。
映る人が知っている顔ばかりで嬉しくなる。インタビューに答える人の名前と年齢がテロップで紹介されるのだが、みなさん年齢よりも若くて驚いた。
特に驚いたのが、ご夫婦で化粧品店を営む瀬長さんの奥さんだ。年齢を聞かれて79歳と答えると、歌手がえーっと大声を出す。それはそうだ、白くてきめ細かい肌、髪もツヤツヤの彼女は、とても79歳には見えない。テレビを見ながら、思わず「へー!」とわたしも唸る。
翌日、市場がいつもより活気づいていたのは気のせいではないはず。お客さんもKさんに「テレビ見たよー。女優デビューだねー」「有名人!」「映画スター」とどんどん声を掛けていく。
わたしも瀬長さんといつもの挨拶を終えて、つい「79歳には見えないよ!若すぎるよー」と話し掛けた。すると、隣にいた旦那さんが小声で言う。
「本当は70歳だよ。年齢、テーゲー(適当)に言っただけって」
年齢のサバを読むというのは若く言うものだと思っていたが、市場では必ずしもそうではないみたい。なんでだろう、と考えてもわからないので、向かいのKさんに聞いてみた。「とっても若く見えるんですね!って最初に言われたから、引くに引けなくなったんじゃない?」
なるほど、、、。そういうものなのかな。確かに、70歳よりも若く見える彼女が79歳って言うと誰でもびっくりするよなぁ。
道行く人に「あんた、若いさー」と声を掛けられる瀬長さんはまんざらでもなさそうだ。とういか、とても嬉しそう。女心は複雑だよね。多分。
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