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【本日の栄町市場】
市場には美容室がたくさんある。小さな市場なのに八軒くらい。
「これでも随分減ったんだよー」と市場の先輩たちは言う。
昔は市場の外に料亭がいっぱいあったから、女将さんも仲居さんも踊り子さんも毎日髪のセットに来たのだそうだ。
「着物の半襟も足袋だって、一回汚れたら使い捨てだったよ。だから、よく売れよったねー。商品が足りなくなって、一日に何度も車で仕入れに行きよった。はー、懐かしいね」
そんな話を聞きながら、いつも以上に人通りのない通りを眺める。今日は暑いもんね。
そんな羽振りのいい時代があったなんて夢のようだ。市場中が華やいでいた時代。
髪を切ったことはないけれど、着付けと髪のセットなら何度かしたことがある。安くて早くて動きやすい。わたしもあの時代の恩恵を少しは受けているということなのかな。
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