
【本日の栄町市場】
沖縄県那覇市にある栄町市場は、戦後の復興時に誕生した市場だ。
この場所には、戦前、「ひめゆり学徒隊」の母校である沖縄県立第一高等女学校と沖縄県女子師範学校とがあったという。校舎は空爆で瓦礫となり、戦後、地域が再び栄えますようにとの想いを込め、栄町市場が誕生したそうだ。
小書店の常連客の一人、85歳のKさんは女学校の最後の生徒だった。一年生だったKさんたちと二年生は家に帰され、三年生が看護要員として動員されたという。Kさんが再び学校に戻ることはなかった。
一緒に学んだ学友を、先輩を、先生を失くした。破壊された学び舎は、やがて栄町市場として復興した。
タクシーから降り杖をついて栄町の馴染みの店をゆっくりと回り、最後に小書店で一服して、再びタクシーで帰っていくKさん。
栄町市場の歴史を見守ってきたKさんの目は、今日も温かく、柔らかい。
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