憲法なんて知らないよ、というキミのための「日本の憲法」前文

kenpou

045_憲法なんて知らないよ日本の新しい憲法が生まれたのは、一九四七年の五月三日。自分たちの生活の土台を支えるものだから、もう一度、ふだんの言葉で読んでみよう。

 

 

私たち日本人は、国を動かす基本の力は国民みなが持ち寄って生まれるものであることを、まず宣言する。

 

私たちはこの考えの上に立ってこの憲法をしっかりと制定した。これは、世界の国々と協力して作ってゆく平和な暮らしや、この国にゆきわたる自由の喜びを私たちが失うことがないように、また政府のふるまいのために恐しい戦争が再びこの国を襲うことがないようにと考えた上で、自分たちできちんと選んだ代表が集まる国会を通じて、自分たちと後の世代のために、決めたことである。

 

政府は、国民みなが信じて託した一人一人の大事な気持ちによって運営される。政府がいろいろなことをできるのは国民が政府を支えるからである。政府の権力は私たちの代表を通じて行使されるし、その結果得られる幸福はみなが受け取る。

 

これは政治というものについての世界の人々の基本的な考えであり、私たちの憲法もこの考えを土台にして作られている。

 

この考えとぶつかるような憲法や法律、条例、勅令を私たちは認めないし、前に作られたものが残っていれば棄てる。

 

私たち日本人はどんな時でも心から平和を求め、人と人の仲を結ぶ高い理想を決して忘れないと決意した上で、日本という国の永続と安全については、私たち同様に平和を大事に思う世界の人々の正義感と信念に委ねることにした。

 

平和のために力を尽くし、暴君や、奴隷制、圧政や、不寛容などをこの地球の上から一掃するための世界の国々の努力については、私たちもまたその一員として尊敬されるだけの働きをしたいと思う。

 

世界中のすべての人々は、平和で自由な社会の中で、恐れやものの不足に悩まされることなく生きられるはずだ、と私たちは考える。

 

国というものは自分たちのことだけを考えていてはいけない。政治のもととなる道義は世界共通であるはずで、それぞれの国の政治はこの道義に沿って進められなければならない。すべてを自分で決められる独立国が、同じように独立した他国を相手にする時に、この道義を無視することは許されない。

 

私たち日本人は、ここに書いたような高い理想と目的を実現するために自分たちの力のかぎり尽くすことを、国の名誉をかけて誓う。

 

『憲法なんて知らないよ』池澤夏樹著(新訳「日本の憲法」より)

 

 

【エッセー/新訳/翻訳】憲法なんて知らないよ

「ぼくたちはもういちど、この憲法の精神に返らなければならない。」池澤夏樹は自分たちのふだんの言葉で日本国憲法を新しく翻訳した。判りやすくて読みやすいから、スイスイと読める。憲法には私たちの毎日の暮らしに関わる大切なことが書かれていることが理解できる。今、憲法を論じよう!

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